今兵庫県は揺れに揺れています。
すでに周知のとおり、知事のパワハラや行政の違法行為ともとられる政策を内部告発した県幹部職員が自死した「事件」は、まだまだ幕引きをしそうにはありません。
県民やメディア、そして同族であるはずの維新の会からも追及される斎藤知事は、早い段階から「辞職するのでは?」と思われていましたが、どうやらそう簡単には話は進みそうにありません。
その理由を7月28日、週刊誌「Smart FLASH」が報じていたので、深掘りしていきたいと思います。
ことの発端や告発内容は⇩の記事で確認できます。
強まる批判(時系列)
これまで斎藤知事が直接、または間接的に追求されてきた内容を時系列で簡単にまとめてみました。
日付 | 発信者 | 内容 |
---|---|---|
7月10日 | 県職員労働組合 | 斎藤氏の責任を問い、辞職を含めた最大限の対応を要求 |
7月12日 | 神戸市長 | この数日間の状況をみると普通ではない事象が続き、県政が混乱している |
同日 | 片山安孝副知事 | 辞職。斎藤知事に5回辞職を進言していたことが発覚 |
7月14日 | 自民党兵庫県連会長 | 大きい正しい判断をしてほしい (事実上の辞職要請) |
7月15日 | 自死幹部及び遺族 | 陳述書及び音声データを議会に提出 |
7月16日 | 日本維新の会吉村洋文共同代表(大阪府知事) | 真実を明らかにすることが大切 |
同日 | 日本維新の会・遠藤敬国会対策委員長 | 説明責任を果たし、足元の状況を是正していくことが大事 |
7月17日 | 橋下徹 | 「兵庫県・斎藤知事は辞めるべき」と明言 |
7月18日 | 「ひょうご県友会」「県職員退職者会」(計3050人) | 事態収拾のための措置を早急に講じること(事実上の辞職要請) |
7月23日 | 共産党県委員会 | 兵庫県知事に辞職要求 |
同日 | 1.小野市長 2.加古川市長 | 1.「辞職以外にはないのではないか」2.「何か新しいことを始めていこうにも機能不全状態」 |
7月27日 | 立憲民主党県連の井坂信彦代表 | 知事は辞職を決断する時期が来ている |
ほかにも多くの著名人や政治家が斎藤知事の続投に懐疑的な発言をしています。
しかし8月29日現在、斎藤知事は「信頼の回復・県民の負託にこたえる」を理由としてかたくなに辞職を否定し続けています。
最側近四人組(通称:牛タン俱楽部)の2人が辞職要求
週刊誌「Smart FLASH」の報道によると、斎藤知事の最側近といわれる片山副知事を含めた四人組(通称:牛タン倶楽部)の1人である「総務部長」が知事に辞職要求したと報じました。
記事によると、総務部長が“私は思い詰めています”と知事に辞職を迫ったところ、知事は「どうぞメンタルケア窓口に」と衝撃の一言を言い放ったと報じています。
すでに女房役の片山副知事は、斎藤知事に5回辞職を進言するも斎藤知事に拒否され、そのまま辞職しました。
今回最側近である四人組の2人目が辞職要求したことで斎藤知事の外堀は徐々にかためられ、孤立しつつあるようです。
事実、7月25日の記者会見当日も、登庁した後は記者会見の時間直前まで知事室にこもって誰も近づかせなかったと「Smart FLASH」が報じています。
斎藤知事がやめない理由
斎藤知事が「斎藤知事がやめない理由」は主に3つあると考えられます。
①知事職に固執している
斎藤知事は自身の公式サイトの中で、行政、政治の道へ進むきっかけとして「大学時代に育英会の奨学金に救われ、セーフティーネットの重要性に気づいた」と情報発信しています。
しかしそれ以外は終始自身の経験やキャリアの説明ばかりで、特に具体的な政策や理念はありませんでした。どうやら斎藤知事は「県知事」という「職」そのものに固執しているようです。
それを裏付けるように、週刊文春2024年8月1日号では斎藤知事の知事選当時の状況を次のように報道しています。
出馬を見据え、有力者への顔の売り込みに際しては「とにかく、知事になりたい」の一点張りで、知事になってどうするのか、何がしたいのかを全く説明しない状況であった。
出典:週刊文春2024年8月1日号
また、前明石市長の泉房穂氏も、当時を振り返り「ポストばかりに強い関心があり、正直驚いた」とも語っていました。
斎藤知事は自身の公式サイトの中で、国家公務員試験に合格した当時「祖父から“名前の『元彦』は、元兵庫県知事の『金井元彦』さんから命名した”と言われた」としており、どうやらこの時から兵庫県知事の職を意識していたのでは?と考察しました。
②辞職は全てを認めたことになる(政治の道が絶たれる)
斎藤知事が記者会見等で責任を追及されるたびに「日々の業務をしっかりしていくことが責任の果たし方です」などと自身の信念を語っています。
そんな斎藤知事を、元宮崎県知事の「東国原氏」が朝日新聞出版の公式ニュースサイト「AERA dot.(アエラ ドット)」で、「斎藤知事が辞めない理由」をつぎのように持論を語っています。
今後の進退を考えてのことではないでしょうか。斎藤知事のなかに、衆院選に出るとかの“野望”があるはず。ここで辞めれば全てを認めてしまうことにもなるから、政治の道を絶たれてしまうと捉えているのでは
出典:AERA dot「野望がある?パワハラ疑惑の斎藤・兵庫県知事が辞めない理由 東国原氏が明かす知事の“悪魔的な魅力”」
と、東国原氏は同じ知事職経験者としてコメントをしていました。
斎藤知事は、何としても2025年7月末までの任期を全うし、政治家として次のステップへ進むために辞職をかたくなに拒否しているのかもしれません。
➂知事報酬へのしがみつき
そんな斎藤知事ですが、週刊誌「Smart FLASH」では知事が辞職を拒否する理由として「年収1500万しがみつき」と、やや激しいタイトルで7月28日記事を公表しました。
記事の内容は県職員への取材で得た話しとして、「頑として辞任を拒否する理由は、やはり報酬ではないか」としています。
さらに取材した県職員の話しとして、“年収で1500万円程度はありますからね。政治家としての再起はほぼ不可能ですから、もらえるだけもらおうと思っているんでしょう”といった発言を紹介しています。
再起が不可能であるかは一旦置いておくとして、斎藤知事がこれだけバッシングを受けても辞職を拒否する理由が報酬であるならば、本当に年収1500万円のためだけでしょうか?
もう少しお金の部分を深掘りしたいと思います。
斎藤知事の報酬
まずは斎藤知事の収入はいくらなのか?実際に調べてみました。(兵庫県法規集参考)
現在の給与は…
- 給与:月額約106万円
- ボーナス:冬249万円(2023/12/08)・夏238万円(2023/06/29)
- 年間:1761万円(2022年年間所得報告)
年収約1761万円となります。しかしこれだけではありません。
現職の政治家は任期が定められており、任期満了まで勤め上げた場合「退職金(任期満了金)」が支給されます。
斎藤知事の「退職金」は次の通りです。
- 約2000万円(2025年7月末任期満了の場合)
以上のことから斎藤知事が任期満了までのあと約1年間、知事として在任できた場合、この1年で約3760万円の収入を得ることができます。
以上のことから、あと1年粘ればこの金額が入るので「しがみつき」と揶揄される理由もわかる気がします。
しかし、後述してある通り、斎藤知事は自身の給与や退職金の減額をする政策を実行しており、必ずしも報酬のために知事職にこだわっているかは疑わしい部分があります。
斎藤知事の実績
ここまで斎藤知事のネガティブな情報を載せてきましたが、斉藤知事は2021年8月に就任してから兵庫県政で様々な改革を実行してきた実力者でもあります。
改革の代表例3つをご紹介します。
公用車のセンチュリーをワンボックスへ
斉藤知事は選挙選で、公用車のセンチュリー見直しを訴えかけていました。そして就任の翌年2022年6月、知事公用車と議長車2台をセンチュリーからトヨタのアルファードへリース契約を変更しました。
リースは7年契約で、料金は1台月7万9750円。センチュリーは1台約25万円だったため、費用は約3分の1となり、センチュリーを契約期間まで使用した場合と比べて約830万円の経費削減につながりました。
知事の給与3割、退職金5割の削減
斉藤知事は選挙公約で、自身の給与や退職金の大幅カットを掲げていました。さらに斎藤知事の任期に限り副知事の報酬までカットするおまけつきでした。
内容としては、1期4年勤めた場合の退職手当「4050万円」を「約2000万円」の約50%削減へ。
手当などを除いた給料「月額134万円」は「93万8000円」の約30%削減へ。
副時事に関しては退職手当「約2370万円」を「1800万円弱」の25%削減。給料は「月額105万円」を「89万2500円」で15%の削減をおこないました。
「行財政改革」で県の貯金額増加
2023年8月の会見で、斎藤知事は兵庫県の貯金にあたる「財政調整基金」は、今年度約30年ぶりに100億円を超え127億円になる見込みと発表しました。
兵庫県は阪神大震災以降、300万円~数十億円程度と少ない状態が続いていました。
しかし好調な県税収入に加えて行財政改革の効果などによりこの金額を確保したとしており、斎藤知事は「緊急時に機動的に予算を組むため3ケタ(100億円)以上は確保したいと考えてきた」と県政改革の成果を語っていました。
まとめ
今回は週刊誌「Smart FLASH」及び「週刊文春」「AERAdot.」の情報を元に記事を作成しました。
ここまでの内容から、斎藤知事が辞職しない理由は「知事職への固執」や「辞職は全てを認めた事になる」「知事報酬へのしがみつき」の3つである可能性が高いと推測することができます。
すでに記述した通り斎藤知事はここまで多くの実績を残しているのも事実です。そのため政治家として引き続き活躍したいという思いが強いのも理解できます。
その思いが天に通じるかは、今後の百条委員会などを通してわかるかもしれません。なお、斎藤知事が証人として出席する百条委員会は8月30日に行われます。
今後の展開はわかりしだい追記、又は新たな記事を作成していきます。
新たな記事を公開したさいはX(旧Twitter)で公開しますので、是非フォローのほどよろしくお願い致します。
<参考>
Smart FLASH
神戸経済ニュース
神戸新聞NET
神戸新聞NET2
さいとう元彦公式サイト
週刊文春2024年8月1日号
兵庫県法規集(兵庫県)
AERAdot.