今回は【Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)】の特集です。
Preferred Networks(PFN)は日本で数社しかないと言われるユニコーン企業(企業価値10億ドル(約1500億円)を超える未上場企業)です。
さらにその時価総額は3500億円を超えており、日本のトップユニコーン企業となっています。
AI旋風が吹き荒れる現代において急成長中のPFNですが、2024年8月27日の”SBIホールディングス”と「業務資本提携」を公表するやいなや、IPO(上場)への期待が急激に高まりました。
日本市場でのIPOが決まれば「相当な人気化」が予想されるだけに今注目の企業です。
そんな注目度の高いPFNを今回深掘りしたいと思います。
Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)とは?
Preferred Networks(プリファード・ネットワークス(以下PFN))は、AI(人工知能)に特化したGPUの研究、開発をおこなっているAIスタートアップ企業です。
2014年3月26日に設立され、本社は東京都千代田区に置かれました。
設立から10年が経過した現在では、企業価値10億ドル(1500億円)以上の未上場企業に与えられる称号「ユニコーン企業」に該当し、PFNの企業価値は3500億円を超えると言われています。
また、ここ数年の成長は目覚ましいものがあり、IPO(新規株式公開)の初値予測をおこなっているサイト「庶民のIPO」によると、PFNの上場時の時価総額は1兆円を超えると予想されています。
事業内容
とてつもない潜在能力をもったPFNですが、現在はGPUの研究開発だけでなく、AIを活用した様々な事業を行っています。
ここではPFNの代表的な事業内容5つご紹介します。
1.生成AIプロセッサ開発
PFNは、独自開発するAIプロセッサ「MN-Core™シリーズ」の新製品として、大規模言語モデルなどの生成AIに最適化した「MN-Core L1000」の開発をおこなっており、2026年の提供を目指しています。
同社ホームページによると、「MN-Core L1000」は生成AI特有の処理に最適化することで、生成AI利用時(推論)においてGPU等の既存プロセッサの最大10倍の高速処理を実現するとしています。
さらにPFN代表取締役「岡野原 大輔」氏によると、あの世界的なGPU企業“エヌビディア”のGPUはAI向けに作られていないため最適ではないと同社のYouTubeチャンネルで語っています。
“エヌビディア”のGPUはAI向けに作られていないため最適ではない。(エヌビディアのGPUで)世界の製品、機械がAIを使って動くのは難しい。(中略)新しい企業はいい製品をタイムリーに出して勝ってきた。この大きいな変化の中でチャンスがあると思っている
出典:https://www.youtube.com/watch?v=i0Xr6hTGKuo&t=30s
と語っており、AIに特化したGPUを研究、開発をおこなっているユニコーン企業であるPFNは、今後劇的な成長を見せる可能性があります。
2.機械、工場、プラントの自動化
PFNとENEOS株式会社は、石油精製プラントの最適化、自動化に関する共同研究をおこなっています。
PFNの深層学習技術(AIの元となる技術)を活用し、大規模かつ複雑なプラント設備の自動化、最適化をおこないエネルギー資源の効率的な活用を目指しています。
また、ENEOS川崎製油所においてAIシステムによる自動運転を開始し、長年の経験にもとづいた運転ノウハウが求められるプラントにおいて、人の技量に左右されない安定的な運転が可能になりました。
3.自動運転、物体認識技術、車両情報解析
あまり知られていませんが、PFNは自動運転技術の分野において先進的な研究、開発をおこなっている企業です。
2014年にはトヨタ自動車と共同開発をすでに開始しており、2017年にトヨタ自動車から105億円の追加融資を受け、自動運転技術の研究開発を加速させることが合意されました。
PFNの自動運転技術は、カメラやセンサーから得られた画像データを解析し、ほかの車両や歩行者を瞬時に認識する物体認識技術を中心に進化しています。
この技術は高速走行や悪天候時でも正確な判断を下す高度なアルゴリズムと深層学習が活用されることによって、より安全で効率的な運行が可能になります。
テクノロジー系ニュースメディア「自動運転LAB」によると、【トヨタの自動運転技術、すでに「テスラ超え」か】といった記事が投稿されており、トヨタ自動車の自動運転技術はすでに高いレベルにあることが紹介されていました。
4.創薬、医用画像解析
創薬
PFNでは、機械学習による画像の識別や生成する方法を化合物デザインへ応用する研究「AI創薬」をおこなっています。
PFNは独自のAI創薬プラットフォームを構築しており、化合物生成モデルとOptuna(自動パラメータ化するツール)に実装されているアルゴリズムを組み合わせ、設計と最適化を迅速のおこない、従来の方法では着想しにくい構造の提案が可能としています。
医用画像解析
医用画像解析の分野では、胸部X線画像による肺がんの診断データを多量に学習したAIを開発し、肺がんの可能性がある異常を検知した場合は画面上に対象部位を表示する「診断補助ツール」を開発しています。
5.クリエイティブ産業向け深層学習応用
PFNは、クリエイターの作業負担、工数を低減させることでより創造的な「新しい表現・体験」が実現できると考えています。
そのためにクリエイティブ産業向けにAIなどの先端技術を活用した制作手法を提案しています。
また、コンシューマー(消費者)向けに深層学習ならではのエンターテインメント体験や創作方法を提示しているようです。
多様な分野への応用
ここまでPFNの代表的な事業内容を紹介してきました。PFNは一つの分野に固執することなく、持っている技術をさまざまな分野へ応用し技術力を高めてきました。
その他の事業も含めた一覧がこちらです。
分野 | 詳細 |
---|---|
生成AIプロセッサー開発 | 開発中の「MN-Core L1000」は、生成AI利用時においてGPU等の既存プロセッサーの最大10倍の高速処理実現を目指す。 |
製造業 | 工作機械や産業用ロボットの高度化、工場やプラントの自動化、効率化。 |
交通システム | 自動運転技術やコネクテッドカーに関する研究開発。安全で効率的な交通システムの実現。 |
ライフサイエンス | 医用画像解析やオミックス解析など、医療分野での深層学習技術の応用を目指す。 |
小売業 | 顧客データ分析や在庫管理など、AIを活用した効率的な運営方法を提供。 |
金融 | リスク管理や不正検知など、金融サービスにおけるAI技術の導入の推進。 |
教育 | 質の高いコンピューターサイエンス教育の提供を目指し、教育分野でのAI活用を推進。 |
エンターテインメント | イラストやマンガ、アニメーションへの深層学習応用により新たな創作手法を提供。 |
材料情報学 | 新素材開発に向けたデータ解析やシュミレーション技術の研究。 |
ビジュアルインスペクション | 高精度な外観検査ソフトウェアを開発し、製品品質や効率化に寄与。 |
PFNはこれらの分野で、深層学習やAI技術を駆使して新たな価値提供に取り組んでいます。
多くの分野で現在もプロジェクトが進行中であり、今後の成果に期待です!
IPO(新規株式公開)はいつ?
【Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)】の上場日程は現在のところ決まっていません。
(※詳細が決まり次第X(旧Twitter)で速報します。気になる方は一番下のフォームよりフォローをお願いします。)
PFN株を買うには?
PFNがIPOした場合の証券会社はまだ決まっていません。
しかし2024年8月にSBIホールディングスから100億円の出資を受けていることが報じられており、一部のIPO専門サイトでは「SBI証券」が幹事証券(主幹事かも)と予測されています。
また、PFNは2024年に材料検索シミュレーター「Matlantis」を海外市場に本格展開しています。
これは同社が海外市場に意欲的であることが背景にあり、海外の投資家から高い関心を集めています。
よって、今後米国市場などでも同時上場の可能性もあることから、米国市場でのIPOに対応している証券会社をあらかじめ選定しておくことが先行者利益を得るかぎとなりそうです。
まとめ
今回は日本市場でIPOがうわさされ、IPOした場合「相当な人気化」が予想されるAI企業【Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)】を特集しました。
ユニコーン企業かつAI企業となれば、投資対象として大変魅力的であり、多くの投資家の方が目を付けている企業ではないでしょうか?
今後の上場に関する情報はX(旧Twitter)で速報します。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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