中国は3日、月の裏側から土壌や岩のサンプルを持ち帰るため、無人月面探査機「嫦娥6号」を海南省文昌の発射場から打ち上げました。月の裏側でのサンプル回収に成功すれば世界初の偉業となります。
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は国威発揚とともに、「宇宙強国」を目指しています。宇宙開発分野でも米主導の国際月探査「アルテミス計画」に対抗しており、米国との競争も激化しています。
着陸はいつ?
香港紙の報道によると、月面着陸と試料採取は6月6日~8日に行われ、試料が地球に到着するのが6月25日ごろと報じています。
帰還機は内モンゴル自治区に着陸する予定で、任務期間を53日間と設定されているようです。
なぜ月の裏側へ?
月はいつも地球に同じ面を向けて、地球のまわりを回っています。そのため、1959年に、当時のソ連が月探査機ルナ3号で写真撮影を行うまで、月の裏側は未知の世界でした。その後アメリカや日本などの探査機が月を周回しながら観測し、裏側の様子も次第にわかるようになってきました。
しかし、月に地球から電波を送っても、月そのものにさえぎられて裏側まで電波が届かないため、月の裏側での探査は難易度が高いとされており未開の地のままでした。
そこで中国は、月の裏側と地球の間で通信を行えるようにするため、ことし3月に中継衛星「鵲橋2号」を打ち上げました。これにより月の裏側に電波を送ることができるようになったため、今回の「嫦娥6号」の打ち上げが可能となりました。
中国による今後の宇宙開発
中国としては、世界初の試みを達成することで、アメリカが先行し続けてきた宇宙開発の分野で存在感を高めるねらいがあるとみられます。
また、月の南極周辺には、飲み水や燃料としての利用が期待される水が、氷の状態で存在する可能性が指摘されており、今後は中国とアメリカとの間で、月での覇権争いが続くと思われます。
また、一部報道によると、中国は30年までに中国人初の月面着陸を実現させ、35年までに月面で科学実験や資源開発の拠点となる研究ステーションを完成させる計画があるとの事です。
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