2024年8月30日、兵庫県知事である斎藤元彦(さいとう もとひこ)氏に対して、県議会が行っている百条委員会が証人喚問がおこなわれました。
尋問は2時間半にわたっておこなわれ、事前に県職員へおこなったアンケートなどに記載されたパワハラ疑惑や、告発文の中身の一部を中心に質疑がおこなわれました。
そのようすはインターネットでライブ配信され、多くの人が見ている中で斎藤知事に対して厳しい質問がいくつも投げかけられました。
配信を見た一部の人は「百条委員の質問の仕方こそパワハラではないか?」と思う人が出るほど厳しい口調で追及をおこなっていたようです。
厳しさの是非はひとまず置いておき、本記事ではその厳しい質問を浴びせた百条委員会のメンバーをご紹介したいと思います。
- 百条委員会とは
- メンバー15名一覧
- メンバープロフィール(№1~15)
- 1.委員長 奥谷 謙一 (おくたに けんいち)
- 2.副委員長 岸口 みのる (きしぐち みのる)
- 3.松本 裕一 (まつもと ゆういち)
- 4.庄本 えつこ (しょうもと えつこ)
- 5.竹内 英明 (たけうち ひであき)
- 6.丸尾 まき (まるお まき)
- 7.佐藤 良憲 (さとう よしのり)
- 8.増山 誠 (ますやま まこと)
- 9.上野 英一 (うえの ひでかず)
- 10.越田 浩矢 (こしだ ひろや)
- 11.伊藤 勝正 (いとう かつまさ)
- 12.富山 恵二 (とみやま けいじ)
- 13.長岡 壯壽 (ながおか そうじゅ)
- 14.黒川 治 (くろかわ おさむ)
- 15.藤田 孝夫 (ふじた たかお)
- まとめ
百条委員会とは
百条委員会とは、自治体で不祥事や疑惑が発生した場合に地方自治法100条にもとづき地方議会が設置する「調査委員会」のことです。
今回兵庫県議会が設置した百条委員会は、斎藤元彦知事が内部告発された内容や、職員へのパワハラ、自死した県民局長の懲戒処分等について事実関係を調査する役割をになっています。
また、百条委員会の特徴として、実態解明を妨げるような虚偽の証言をした場合は刑事罰を科すことができる強力な権限を持っています。
それがゆえ「伝家の宝刀」などと呼ばれることもあり、過去には首長の辞職につながった例もあります。
具体的な例として次の表のような事例があります。
年 | 場所 | 役職 | 調査内容 | 経過 |
---|---|---|---|---|
2005年 | 長野県 | 知事 | 田中康夫知事の後援会元幹部の働きかけ問題など | 県の下水道業務の受注などで元幹部側に「利益を導いた」と認定。田中氏を偽証罪などの疑いで告発。不起訴に。 |
2014年 | 沖縄県 | 知事 | 仲井仲井真弘多知事による辺野古沿岸部埋め立て承認の経緯 | 是非をめぐり与野党会派の意見が割れ、報告書に両論併記 |
2019年 | 奈良県宇陀市 | 市長 | 指定管理者をめぐる専決処分 | 2度の不信任決議を経て失職 |
同年 | 大阪府堺市 | 市長 | 選挙運動費用の収支報告書などに記載漏れ | 百条委前に辞職 |
2020年 | 大阪府池田市 | 市長 | 庁舎内に家庭用サウナ持ち込み | 辞職求める調査、報告書を受け、辞意表明 |
もともと「議会」は、国政であれ地方自治であれ行政のチェック機関の役割があります。そのチェック機関にとって百条委員会はまさに「伝家の宝刀」であり、場合によっては上記のように知事や市長を辞職まで追い込むことができます。
その「伝家の宝刀」を抜いた兵庫県議会は、今回どのようなメンバーで斎藤知事に挑むのでしょうか?
ここからは各会派から選ばれた百条委員会メンバーの15名をご紹介します。
メンバー15名一覧
今回の百条委員会は2024年6月13日に設置されました。メンバーは県議会の各会派から選ばれた15名で構成されています。
メンバーは次の通りです。
委員長
- 奥谷 謙一 (自由民主党)
副委員長
- 岸口 みのる (維新の会)
委員
- 松本 裕一 (自由民主党)
- 庄本 えつこ (共産党)
- 竹内 英明 (県民連合)辞職 <追記11/18>
- 丸尾 まき(無所属)
- 佐藤 良憲 (維新の会)
- 増山 誠 (維新の会)
- 上野 英一 (県民連合)
- 越田 浩矢 (公明党)
- 伊藤 勝正 (公明党)
- 富山 恵二 (自由民主党)
- 長岡 壯壽 (自由民主党)
- 黒川 治 (自由民主党)
- 藤田 孝夫 (自由民主党)
メンバープロフィール(№1~15)
百条委員会メンバーのプロフィールを1人づつご紹介します。
1.委員長 奥谷 謙一 (おくたに けんいち)
- 会派:自由民主党
- 選挙区:神戸市北区
- 当選回数:3回
- 名前:奥谷 謙一 (おくたに けんいち)
- 生年月日:昭和60年8月13日(38才 2024年現在)
- 出身:兵庫県神戸市
- 最終学歴:甲南大学法学部卒業(甲南大学大学院法律研究科(法務専攻)修了)
- 職歴:神戸中央法律事務所
奥谷議員は元弁護士で現在も兵庫県弁護士会に登録をしている弁護士でもあります。自由民主党兵庫県支部連合会青年局長を務め、今回の百条委員会でも「委員長」に抜擢されるなど優秀さを感じさせます。
2.副委員長 岸口 みのる (きしぐち みのる)
- 会派:維新の会
- 選挙区:明石市
- 当選回数:5回
- 名前:岸口 みのる (きしぐち みのる)
- 生年月日:昭和39年7月7日 (61才 2024年現在)
- 出身:兵庫県姫路市?
- 最終学歴:神戸大学大学院法学研究科博士前期課程修了
- 職歴:芦屋大学客員教授、社会福祉法人美友会理事長、保護司
現在は維新の会所属の岸口議員ですが、2003年の初当選当初は民主党に所属していました。斎藤知事と同じ維新の会ということもあってか、岸口氏のInstagramには斎藤知事も登場しています。また、岸口議員は元西播磨県民局長のPCに入っていた”プライベートな情報”を全て公開するよう、同じく維新の増山議員とともに強く主張したと週刊文集に報じられていますが真実は不明です。
3.松本 裕一 (まつもと ゆういち)
- 会派:自由民主党
- 選挙区:加古川市
- 当選回数:2回
- 名前:松本 裕一 (まつもと ゆういち)
- 生年月日:昭和44年9月27日 (55才 2024年現在)
- 出身:
- 最終学歴:
- 職歴:
松本議員は情報が少なく詳細が不明でした。現在は自由民主党10区支部青年局長を務めており、加古川市尾上町在住。家族構成は奥様とお子さんが1人おられるようです。元浜の宮小学校・中学校PTA会長であり、松本議員のホームページからも子育て支援や教育に力を入れているように感じました。
4.庄本 えつこ (しょうもと えつこ)
- 会派:日本共産党
- 選挙区:尼崎市
- 当選回数:3回
- 名前:庄本 えつこ (しょうもと えつこ)
- 生年月日:昭和29年8月16日 (70才 2024年現在)
- 出身:茨城県
- 最終学歴:法政大学第2文学部教育学科卒業
- 職歴:株式会社新日本出版社
庄本議員の母親や祖母は東京大空襲の惨禍から幸運にも逃れることができた戦争経験世代です。そのため庄本議員は幼いころから戦争の惨劇を聞いて育ったためか「日本民主青年同盟(民青)」に所属していたようです。18才で日本共産党に入党し精力的に活動を行っています。
5.竹内 英明 (たけうち ひであき) 百条委員辞職
- 会派:ひょうご県民連合
- 選挙区:姫路市
- 当選回数:5回
- 名前:竹内 英明 (たけうち ひであき)
- 生年月日:昭和49年4月6日 50才(2024年現在)
- 出身:兵庫県姫路市
- 最終学歴:早稲田大学政治経済学部政治学科卒業
- 職歴:セブン-イレブン・ジャパン
竹内議員は早稲田大学生時代、19才で奥田敬和衆議院議員の事務所に「学生秘書」として所属していました。そのまま政党秘書として就職するつもりでしたが「民間企業を経験した方がよい」とアドバイスを受けセブン-イレブン・ジャパンに就職し約1年間勤務していたようです。
6.丸尾 まき (まるお まき)
- 会派:無所属
- 選挙区:尼崎市
- 当選回数:5回
- 名前:丸尾 まき (まるお まき)
- 生年月日:昭和39年10月25日 60才(2024年現在)
- 出身:兵庫県尼崎市
- 最終学歴:大阪産業大学工学部卒業
- 職歴:有機野菜販売青果店経営
丸尾議員のサイトによると、運送会社で資金を稼いだのち、八百屋、農家で研修を受け有機野菜販売青果店を開業したようです。現在も経営をおこなっていいるかはわかりませんでした。「これから取り組みたい事」として犬猫察処分ゼロなどをかかげているのが印象的でした。
7.佐藤 良憲 (さとう よしのり)
- 会派:維新の会
- 選挙区:伊丹市
- 当選回数:1回
- 名前:佐藤 良憲 (さとう よしのり)
- 生年月日:昭和55年9月22日 43才(2024年現在)
- 出身:
- 最終学歴:
- 職歴:陸上自衛官、伊丹市議会議員
佐藤議員はホームページが閉鎖されていたため詳しい情報がわかりませんでした。8月30日に行われた百条委員会では、同じ維新の会の斎藤知事に対して「思いやりがない」「人望がないんじゃないか」などと厳しく指摘し、斎藤知事を切り捨てていました。
8.増山 誠 (ますやま まこと)
- 会派:維新の会
- 選挙区:西宮市
- 当選回数:2回
- 名前:増山 誠 (ますやま まこと)
- 生年月日:昭和53年6月9日 (46才2024年現在)
- 出身:
- 最終学歴:早稲田大学政治経済学部卒業
- 職歴:日興コーディアル証券社員、情報通信会社経営
増山議員は4人の子供を育てる子育て世代。現在夙川小学校PTA会長を務め2期目に突入しています。また、岸口議員と同様週刊文集に「元西播磨県民局長のプライベートな情報を百条委員会ですべて公開すべきと主張」と報じられていますがこちらも真実は不明です。
9.上野 英一 (うえの ひでかず)
- 会派:ひょうご県民連合
- 選挙区:神崎郡
- 当選回数:5回
- 名前:上野 英一 (うえの ひでかず)
- 生年月日:昭和28年8月10日 71才(2024年現在)
- 出身:
- 最終学歴:国立明石高専中退
- 職歴:大河内町長
選挙区が兵庫県の農村地帯である神崎郡ということもあってか、上野議員の政策は「地域格差の解消」「人口減少問題」「教育」などをあげています。自身のホームページには「若さとクリーン!」とうたっていますが、上野議員はすでに71才。地方の少子高齢化を感じさせます。
10.越田 浩矢 (こしだ ひろや)
- 会派:公明党
- 選挙区:神戸市長田区
- 当選回数:4回
- 名前:越田 浩矢 (こしだ ひろや)
- 生年月日:昭和43年6月18日 57才(2024年現在)
- 出身:神戸市(3才まで広島県竹原市)
- 最終学歴:神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了
- 職歴:JR西日本勤務
越田議員は地元神戸、特に長田区のために精力的に活動しています。例えば県や神戸市の行政機関を長田区に移転してほしいと、神戸市長や前知事の井戸知事に幾度となく要望し、その結果新長田駅南の再開発エリアに「県市合同庁舎」の建設が決定しました。
11.伊藤 勝正 (いとう かつまさ)
- 会派:公明党
- 選挙区:明石市
- 当選回数:4回
- 名前:伊藤 勝正 (いとう かつまさ)
- 生年月日:昭和42年1月12日 57才(2024年現在)
- 出身:兵庫県明石市
- 最終学歴:関西大学経済学部卒
- 職歴:三菱電機ビルテクノサービス(現・三菱電機ビルソリューションズ)
伊藤議員の大きな実績としては、明石と淡路島を結ぶ連絡船用に、125cc以下の小型二輪車を積載できる船の建造に貢献したことです。本土と淡路島は明石海峡大橋でつながりましたが、それにともなって自動車やバイクを積載できるフェリーが航路廃止となったため、小型二輪の往来ができなくなる問題が発生していました。
12.富山 恵二 (とみやま けいじ)
- 会派:自民党
- 選挙区:相生市
- 当選回数:2回
- 名前:富山 恵二 (とみやま けいじ)
- 生年月日:昭和32年7月22日 67才(2024年現在)
- 出身:兵庫県相生市
- 最終学歴:神戸学院大学法学部卒業
- 職歴:姫路合同貨物自動車(株)勤務、相生市役所勤務
富山議員は根っからの相生市民であり、相生市職員として37年間勤務した実績があります。政策としては地方都市である相生市の地域創生、福祉、教育などに力を入れているようです。
13.長岡 壯壽 (ながおか そうじゅ)
- 会派:自由民主党
- 選挙区:赤穂市、及び赤穂郡佐用郡
- 当選回数:6回
- 名前:長岡 壯壽 (ながおか そうじゅ)
- 生年月日:昭和35年12月20日 満64才(2024年現在)
- 出身:
- 最終学歴:京都大工学部
- 職歴:小松製作所
長岡議員の情報も非常に少ないのですが、2011年の県議会選挙時に長岡議員を取材した「赤穂民放」によると、政策の柱は医師不足の解消に向けた女性医師の拡充や千種川の堤防強化などを語っていました。ちなみに特技はサッカーとスキーということで、若いころはかなりのスポーツマンだったようです。
14.黒川 治 (くろかわ おさむ)
- 会派:自由民主党
- 選挙区:尼崎市
- 当選回数:6回
- 名前:黒川 治 (くろかわ おさむ)
- 生年月日:昭和34年7月25日 65才(2024年現在)
- 出身:兵庫県尼崎市
- 最終学歴:県立尼崎高校卒業
- 職歴:参議院議員公設秘書
黒川議員の政策も他の議員同様に福祉や教育などをうたっていますが、他と少し違う政策として犬、ねこの察処分ゼロを目指すとしていました。また、自身のホームページによると、奨学金本人負担ゼロも目指しており、すでに補助金の拡充によって支援は全国トップクラスと自負していました。
15.藤田 孝夫 (ふじた たかお)
- 会派:自由民主党
- 選挙区:養父市及び朝来市
- 当選回数:6回
- 名前:藤田 孝夫 (ふじた たかお)
- 生年月日:昭和30年4月18日 69才(2024年現在)
- 出身:
- 最終学歴:桃山学院大学経営学部卒業
- 職歴:(株)藤田製菓代表取締役
藤田議員は若かりしころからかなりの行動派で、バックパッカーとして2年間全国を放浪した経験や、自腹で地域おこしを行い7年間無遅刻、無欠席で参加し、政治活動もその延長線上と語っています。政策としては、「田舎が時代を変える」としており、人生設計で「田舎で暮らす」という選択肢を得る、経済ビジネスモデルをつくると意気込んでいます。
まとめ
今回は兵庫県百条委員会のメンバーをご紹介しました。
百条委員会は斎藤知事にまつわる疑惑を解明するため、今後も証人からの証言を集め、今年の末には意見をまとめるとしています。
しかし、8月30日時点で、議会の各会派から今後「不信任決議案」の提出をする動きがあります。不信任決議案が議会に提出されると、議会は4分の3以上の賛成で可決することができます。
不信任決議案が可決されると知事は「辞職」か「議会の解散」のどちらかを選ぶことになるため、この時点で百条委員会の活動は終了すると思われます。
いずれにせよこの9月以降兵庫県議会の動きに注目です。今後大きな動きがあれば記事の更新や新規作成をおこないます。
更新のさいはX(旧Twitter)でお知らせするので、最新情報を知りたいかたは下のXアイコンよりフォローお願いします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
<追記11/18>
竹内英明氏が一身上の都合により百条委員を辞職しました。報道によると「ネット上の誹謗中傷から家族を守るために身を引いた」とのことです。
兵庫県議会の高圧的での質問はパワハラに思える.自分達は何も気づいていない
ただのいじめと変わらない質問、失笑は見るに耐えない
ただ辞めさして、県政を握りたいのであれば、不信任案を出して辞めさせればいい
告発して、自殺なんで?兵庫県の闇が深い、そんなに命は安いか?
もう既に還暦過ぎて、〇ぬか?