【2024年最新】「内閣支持率」公表に意味はないのか?

Chiyoda, Tokyo, Japan: Japanese National Diet Building: The National Diet Building is the building where both houses of the National Diet of Japan meet.

5月5日、JNNが行った世論調査が公表されました。
それによると…

岸田内閣の支持率が前回の調査から7.0ポイント上昇し、29.8%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。 不支持率は前回の調査から7.1ポイント下落し、67.9%でした。
(5月5日、JNN発表)

とのことでした。

しかし、そもそもこの「内閣支持率」の公表に意味があるのでしょうか?この記事では「内閣支持率」について解説していきたいと思います。

内閣支持率とは

内閣支持率は、現在の内閣が、国民からどのくらい支持を受けているかを示す指標です。新聞やテレビなどのマスコミが、「読者に国民全体がどのような考えを持っているか伝えるため」にそれぞれの方法で定期的に世論調査を行って公表しています。

内閣支持率が高ければ、国民に不人気な政策も実行しやすくなります。逆に支持率が低いと、野党からの追求が激しくなり政策を実現しにくくなります。つまり、内閣支持率は、増税などの重要政策の決定に関する内閣の判断や、衆院解散・総選挙など政権運営をめぐる判断に大きく影響します。

ちなみに、内閣支持率30%が危機水域の目安と言われています。この水準を下回ると政権運営が行き詰まる可能性があります。

「内閣支持率」公表に意味はないのか?

結論、内閣支持率の意味(存在意義は次の3つがあります。

内閣支持率の存在意義
  • 国民の政治に関する意識をより高める効果
  • 政府にとって、政権運営のための参考資料
  • 政府に国民の意識に沿った政治を目指すよう仕向ける

つまり、内閣支持率の調査公表は、「国民」「政府」双方にとってメリットがるといえます。

また、人々は物事を数字やランキングで判断したがる傾向があります。それにより各メディアも読者を引きよせるため、積極的に内閣支持率を公表しています。

誰が調査しているのか?

内閣支持率調査を行っているメディアは、2024年5月現在、わかっているだけで8企業(団体)が公表しています。

内閣支持率調査を行っているメディア
  • NHK
  • 読売新聞
  • 朝日新聞
  • 日経新聞
  • 産経新聞
  • 毎日新聞社
  • 共同通信
  • JNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク)

調査方法

JNNや朝日新聞など、多くのメディアではコンピューターで無作為に数字を組み合わせて電話番号を作り、調査を行う「RDD方式」で調査をおこなっています。

RDD方式とは、全国の電話番号の中から、ランダムな電話番号を抽出する方法です。(後述)

出典:高校生新聞

調査当日は、これらの番号に調査員が次々と電話をかけます。朝日新聞社では、機械による自動音声を使っての調査は実施していません。

電話番号の作り方(RDD方式)

朝日新聞は、電話番号の作り方を公表しています。

  • 固定電話の場合

固定電話の番号は[市外局番]―[市内局番]―[家庭用番号]の計10桁の数字でできています。朝日新聞社では、実際に使われている上8桁の番号をリストにして保存しています。このリストはあらかじめ、それぞれの上8桁番号がどの地域で多く使われ、電話帳にはどのぐらいの件数が掲載されているか、などの情報をもとに分類してあります。そして、上8桁の番号を無作為に選びます。次に、残りの下2桁を00~99の範囲で乱数を発生させて計10桁の番号を作ります。
(文章の一部を編集しています)

  • 携帯電話の場合

携帯電話の番号は070、080、090から始まる11桁の数字で出来ています。総務省が公表している各携帯電話会社に割り振られた上6桁の情報を基に、残りの下5桁を00000~99999の範囲で乱数を発生させて計11桁の番号を作ります。

報道機関によって内閣支持率に違いがある

多くのメディアでは「RDD方式」を採用しているため、少なからず数字に違いが出ますが、他にも違いが出る要因として「重ね聞きの有無」があります。

出典:高校生新聞

朝日新聞や毎日新聞は「重ね聞き」をおこなっていませんが、読売新聞や日経新聞は「重ね聞き」お行っています。

それにより、読売新聞や日経新聞無回答の割合が少なくなる傾向があります。

「RDD方式」の問題点

RDD方式の場合、電話帳に番号を掲載していない人にも調査を依頼できるため、集計方法などに問題がなければ偏りなく調査を行うことができます。

しかし地域別に調査をおこなう場合は1つ問題があります。
携帯電話への調査の場合、固定電話のような「市外局番」がないため地域ごとの調査ができません。そのため朝日新聞では地域ごとの調査は固定電話のみ対象ということでした。この場合、固定電話の回線を引いている世帯や年代、地域にも一定の偏りが発生すると思われます。

また、選挙情勢調査のRDDで携帯電話を対象とする場合には選挙区単位の調査が技術的に困難という問題があり、調査方式の使い分けが行われているが、妥当性の観点でRDDにとって好ましいことではないという指摘もあります。

また、「世論総合研究所」の細貝亮氏によると…
携帯電話の回答者は男性にやや偏る。無作為に依頼しても,男性の回答者が6割超となる。女性の方が知らない番号からの警戒感が強いことが原因であろう。固定電話回答で女性がやや多くなることとは対照的である。」としています。

以上ことから、RDD方式には課題はあるものの、現段階では実用的な方法として、このRDD方式で調査をおこなっているのが現状のようです。

まとめ

今回は、内閣支持率を公表する意味や、RDD方式などを解説しました。

内閣支持率の調査の仕方や「RDD方式」による電話番号の作り方など、普段耳にしない情報も多かったのではないでしょうか?

この記事をきっかけに、内閣支持率をはじめ、政治関連のニュースに興味をもって頂けた嬉しく思います。

<参考>
世論調査ってどうやってるの? 若者の声は反映されてる?|高校生新聞
内閣支持率とは?必要性や測り方をわかりやすく解説!|スマート選挙ブログ
「RDD」方式とは|朝日新聞
RDDによる世論調査の現状と課題|世論総合研究所