【ガソリン補助金】いつまで?補助金縮小迫る 「減税は消極的~政府~」

【ガソリン補助金】いつまで?

2024年5月21日作成

2022年1月より原油相場の高騰をうけて始まった「燃料石油価格激変緩和対策」(通称:ガソリン補助金)が、いよいよこの6月から一部縮小が開始されます。

私たちの生活に欠かせないガソリンの今後について、この記事では深掘りしていきたいと思います。

ガソリン補助金とは

ガソリン補助金とは、コロナ渦からの脱却によって高騰した原油価格が、経済回復の足かせにならぬよう、石油元売や輸入業者に補助金を支給してガソリンスタンドでの小売価格の上昇を抑える「燃料石油価格激変緩和対策」の一環です。

当初、補助金額は1リットル当たり5円でしたが、ウクライナ紛争の勃発により原油価格が高騰し、昨年12月までに最大35円まで拡大されていました。2024年5月現在の補助金額は25円まで下がりましたが、6月以降は一部縮小されます(後述)。

ガソリン補助金の効果

経済産業省が「ガソリン全国平均価格への激変緩和事業の効果」を公表しています。

ガソリン減税効果

この表からだと、1リットル当たり15円~40円程度価格が抑えられていることがわかります。5月20日時点においても28.6円価格が抑えられており、補助金がない場合1リットル当たり199.9円と驚きの価格となっています。

ガソリン補助金の課題

上記の通り、「ガソリン補助金」のおかげで販売価格が大きく抑えられており、消費者にとってかなりの恩恵があることがわかります。

しかしこの「ガソリン補助金」の予算総額はすでに6兆円に達しており、一部の識者からは批判も出ています。

なぜなら国の財政を圧迫しているほか、脱炭素社会に逆行しているのに加えて、民間の省エネ技術向上の機会を奪っているからです。

補助金は一度始めると終わるタイミングが難しいものですが、政府には責任をもって出口戦略を示す時が近づいているようです。

トリガー条項

補助金がなくてもガソリン小売価格を下げる方法があります。それが「トリガー条項」です。

トリガー条項とは、ガソリンの平均小売価格が1リットル160円を3ヶ月連続で上回った場合に、自動的にガソリン税を1リットルあたり28.7円引き下げる制度です。2010年、当時の民主党政権のときに導入された減税手段の1つです。(下図参考)

この「トリガー条項」が発動された場合、現在実施されている「ガソリン補助金」が終了しても、ガソリン小売価格はおおむね現在の価格を維持できると言われています。

ガソリン1リットル当たりの税
出典:NHK

しかし翌2011年、東日本大震災が発生した当時、復興財源を確保することを目的に「震災特例法」という法律でトリガー条項を凍結する処置がとられました。

この処置を解除するには「震災特例法」を改正する必要がありますが、トリガー条項を発動した場合1年間で約1兆円の税収を失うため、財務省が財政負担が増すことを理由に難色をしめしており、現時点では岸田政権も震災特例法の改正には消極姿勢です。

今後

今後ガソリン補助金の補助率は、6月から9月にかけて1/10ずつ減少します。

ただこれは1リットル当たり193円までの場合です。193円を超えた分は今後全額補助されます。(下図参考)

まとめると次の通りです。

2024年6月~9月まで
  • 基準価格(補助前の価格)が193円以下の部分は補助率を2週間ごとに1/10ずつ引き下げ
  • 基準価格193円を超える部分は補助率を2週間ごとに0.5/10引き上げ
2024年9月
  • 基準価格が193円以下の場合は3/10を補助
  • 基準価格が193円を超えた分全額補助
2024年10月以降
  • 基準価格が193円以下の場合は3/5を補助
  • 基準価格が193円を超えた分全額補助

以上のことから、主となる価格帯での補助率を下げ、財政負担を軽くしようとする政府の方針がうかがえます。一方、過度に価格が上昇した場合は手厚く保障し国民生活の安定を図る制度設計にもなっています。

まとめ

今後、原油価格が上昇した場合、店頭小売価格は上限の193円のまでは上昇することになります。193円は決して安いとは言えませんが、それ以上は上がらないという安心感は得る事ができます。

しかし今後の社会情勢次第では補助率の変更は十分ありえることであり、為替が円安に向かえば当然輸入に頼っている原油の価格も上昇します。

今後私たちはエネルギーを節約すると同時に、新しい技術やクリーンなエネルギーを求めていくことになるかもしれません。

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