2024年9月27日、レッドバロングループの親会社である「(株)レッドバロンプロパティーズ」は、「主要株主の変更」と題したお知らせを発表しました。
その内容は世界最大級の投資会社「ベインキャピタル」に株式の過半数を譲渡するというもの。
それはいったい何を意味するのでしょうか?
今回はこのレッドバロン買収”事件”を特集したいと思います。
レッドバロンが買収を選んだ背景
この買収の背景には、レッドバロンが経営基盤の強化を図る必要があったことが挙げられます。
特に、創業者の杉浦齊氏が昨年8月に死去したことにより、事業承継が課題となっており、外部からの支援を求める動きが強まっていました。
ベインキャピタルとの契約は、レッドバロンの企業理念や経営方針と合致しており、今後の成長を支援するための戦略的な選択とされており、「東京新聞」報道によると今後は営業戦略の強化やデジタル化を支援し、中長期的な成長を促すとしています。
レッドバロンとは
レッドバロンは創業者である「故・杉浦 齊(すぎうら ひとし)氏」が、1972年1月に愛知県岡崎市で資本金100万円を元手に「ヤマハオートセンター」として創設したのが始まりです。
2004年には、社名をすでに店名として使用していた名前と同じ「株式会社レッドバロン」へ変更し、本社を岡崎市藤川町に移転しています。
1970年代のバイク屋は個人経営の小規模な店舗しかなく、店のサービスやクオリティーは店主まかせが一般的でした。
そんな時代に「ヤマハオートセンター」は敷地面積1000坪に工場付きの大型店をオープンします。
創業家の故・杉浦 齊(すぎうら ひとし)氏には、開業当初から「全国規模のロードサービス構想」がり、それを実現すべく、2号店の立地は1号店から遠く離れた大阪府箕面市に1号店同様、大型の店舗をオープンさせました。
1店舗からスタートしたレッドバロンですが、2023年時点で国内306店舗、海外5事業所・店舗、年間総売上889億円(2023年10月連結決算)、従業員数2482名(2023年11月末 現在)と大きく成長し、国内中古バイク最大手企業へと成長しました。
そんなレッドバロンですが今回、世界最大級の投資会社「ベインキャピタル」(後述)に株式の過半数を譲渡することとなりました。
株式会社レッドバロン会社概要
会社の商号 | 株式会社レッドバロン (旧ヤマハオートセンター株式会社) |
資本金 | 50億8,327万円 グループ法人合計 (2023年11月末 現在) |
設立 | 昭和47年(1972年)1月(3月16日開業) |
所在地 | 【本社】愛知県岡崎市藤川町字境松西1番地 【本部事務所】愛知県岡崎市大平町字才勝8-1 TEL. 0564-24-5312(代表・総務部) |
役員 | 【取締役 最高顧問】小林 正司 【代表取締役 社長】石岡 直樹 【取締役 副社長】藤田 貴弘 【専務取締役】松本 勉 【常務取締役】福本 大悟 【常務取締役】平山 哲也 【取締役】濱田 礼知 【取締役】杉浦 孝子 【取締役】上甲 一郎 【取締役】杉浦かおる |
店舗数 | 国内306店舗 (2023年11月末 現在) 海外5事業所・店舗 |
総売上高(年間) | 889億円 (2023年10月連結決算期) |
従業員数 | 計2,482名 (2023年11月末 現在) |
事業内容 | バイク・パーツ・アクセサリー用品の販売・修理 / 直輸入バイク・パーツ・アクセサリー用品卸しおよび小売販売 / 技術情報の紹介および物品販売 / 海外ディーラーへのバイク販売および技術指導/海外フランチャイズチェーン出店、現地企業との合弁事業の展開 / 国内外のバイクライダー専用レジャー施設(ホテル、サーキット)の開発および運営 |
主な取引銀行 | 三菱UFJ銀行 / みずほ銀行 / りそな銀行 / 三井住友銀行 / 十六銀行 / 岡崎信用金庫 |
ベインキャピタルとは
ベインキャピタルはアメリカ、マサチューセッツ州ボストンに本社を置く世界的な投資ファンドです。
1984年に戦略コンサル企業、「ベイン・アンド・カンパニー」のシニアパートナーらによって設立されました。
ベインキャピタルは1984年の創業以来、約1200億ドルの資産を運用する世界最大の投資会社です。
今回レッドバロンの株式の過半数を取得することになったのが、この「ベインキャピタル」だったことが、今後のレッドバロン上場の可能性を大きく左右します。
投資会社にはいくつか種類がありますが、ここでは「VC」と「PEファンド」について説明します。
VC(ベンチャーキャピタル)
VC(ベンチャーキャピタル)は、主に未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業に対して出資をおこなう投資ファンドです。
VCは対象企業に資金を提供する見返りとして株式を取得します。その後出資した企業がIPO(新規上場)により株の価値が上昇したタイミングで株を売り、利益を出すビジネスモデルの企業です。
それがゆえに、出資した企業がIPOまでこぎ着けなかった場合は損失を出す可能性があるため、VCはある一定のリスクを承知の上で企業に出資をおこなっています。
PEファンド(プライベートエクイティファンド)
PEファンド(プライベートエクイティファンド)は、未上場企業や非公開株式に投資をおこなう投資ファンドです。
VC(ベンチャーキャピタル)との大きな違いは、VCは一定の損失を承知の上で融資をおこなっていますが、PEファンドは強い意志のもと経営に深く関与する点です。
VCの一般的な投資額は10億円~20億円程度と言われていますが、PEファンドの場合は、大規模な案件だと数千億円にもなる場合があります。
多額の融資で成熟した企業の株式を過半数取得し、経営に深く関与することで企業のバリューアップ(企業価値向上)をおこない、その後企業をIPO、または第三者への売却まで導き、キャピタルゲインを得ることを目的としています。
レッドバロンは上場するか?するならいつ?
今回レッドバロンの買収を予定している【ベインキャピタル】は「PEファンド」のため、今後レッドバロンは上場する可能性は高いといえます。
しかしその「時期」は少し先になりそうです。
PEファンドは通常3~5年かけて投資をおこない企業のバリューアップを計ります。レッドバロンも上場する可能性は高いものの、IPOまでは数年の歳月がかかるものと思われます。
まとめ
今回はレッドバロンについて特集しました。
今回の買収報道はヤフーニュースでも取り上げられ、誰もが知っているあの「真っ赤なヒゲ親父」が外資に買収されると知って驚いたのではないでしょうか?
しかし現経営陣は続投する見通しで、創業家も株式を保有し続けるようなので、レッドバロン側としてはメリットが大きい買収劇だったのではないでしょうか。
数年後のIPO時には、大きな注目が集まること間違いなさそうです。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。
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