Sakana AI(サカナ AI)とは?
Sakana AI(サカナAI)は東京を拠点に設立された日本のAIスタートアップ企業です。
元Googleの研究者であるライオン・ジョーンズ氏(CTO)とデビッド・ハ氏(CEO)、そしてメルカリなどの数々の執行役員を務めた伊藤錬氏(COO)の3人で設立されました。
Sakana AI(サカナAI)は従来の大規模AIシステムとは異なり、たくさんの小さなAIシステムをつなぎ合わせることでより効率的に、かつ迅速にAIを進化させる開発をおこなっています。
メンバー(共同創業者)
デイビッド・ハ(CEO)
- 名前:デイビッド・ハ(David Ha)
- 生年月日:不明
- 出身:幼少期に香港からカナダに移住
- 学歴:トロント大学で工学の学士号を取得し、東京大学で博士号を取得
- 経歴:マイクロソフト日本法人CEO、ゴールドマン・サックス日本法人
Sakana AIのCEOを務めているデイビッド・ハ氏です。
ハ氏はトロント大学で工学の学士号を取得し、東京大学で博士号を取得しました。
ハ氏は当初、意外にもゴールドマン・サックスで、マネージング・ディレクターとして勤めるという金融畑のキャリアスタートでした。その後Google日本法人にて、Brain Researchチームを率いてAI研究者として活躍しました。
また、ハ氏は日本文化に強い魅力を感じ、日本での起業を決意したようです。日本がAI技術の未来において重要な役割を果たすと信じており、日本での人材に対する期待も大きいようです。
ライオン・ジョーンズ(CTO)
- 名前:ライオン・ジョーンズ(Llion Jones)
- 生年月日:不明
- 出身:イギリス、ウェールズ
- 学歴:バーミンガム大学(卒業?)
- 経歴:2011年Google入社 12年間勤務
ライオン・ジョーンズの代表作といえば2017年に発表された論文「Attention Is All You Need」です。
日本語にすると「必要なのは注意だけ」となります。このタイトルはトランスフォーマーというモデルが言語処理において、注意機構(アテンションメカニズム)の重要性を強調していることを指します。
ChatGPTの「T」はこのトランスフォーマーを意味しており、ChatGPTの誕生にライオン・ジョーンズ氏は大きく貢献したことになります。
伊藤 錬(COO)
- 名前:伊藤 錬(いとう れん)
- 生年月日:1978年 45才(2024年現在)
- 出身:岐阜県
- 学歴:東京大学法学部卒業、その後ニューヨーク大学ロースクールで学ぶ
- 経歴:外務省、メルカリ(執行役員)
伊藤氏はサカナAIにおいて、最高執行責任者(COO)として重要な役割を担っています。
伊藤氏の主な仕事は「企業の運営と戦略策定」を担当し、特にグローバルなビジネス展開に注力しています。
伊藤氏は外務省でのキャリアを経て、メルカリで国際事業の拡大を主導した経験があり、このバックグランドが彼の戦略的思考や国際的な視野に大きく寄与しています。
なぜ日本なのか?
デイビッド・ハCEOやライオン・ジョーンズに対して「なぜ日本を選んだのか?」と、日本の各メディアが取材で質問を投げかけています。
それによると、彼らが日本を選んだ理由は7つにまとめることができます。
- ①地政学的な位置
- ②文化的背景とインスピレーション
- ③優秀な人材の確保
- ④日本のAI市場の未開拓の可能性
- ⑤政府の支援とエコシステムの構築
- ⑥著作権法の柔軟性
- ⑦社会課題への取り組み
1つずつ見ていきましょう。
①地政学的な位置
ハ氏によると、日本はアメリカと中国の間に位置し、AI技術が少数の企業や政府によって支配されるリスクを回避するための理想的な場所と語られていました。
②文化的背景とインスピレーション
ジョーンズ氏はNHKの取材のなかで、「Googleで出会った日本人たちは創造的で革新的な人々だった。」と語られています。ハ氏も日本の学生のことを「技術面だけではなく、芸術面においても創造的な人がいます」とのこと。
ハさんは2018年から、ジョーンズさんは2020年から、Googleの渋谷のオフィスに勤務していました。日本の文化や風土が、新たなアイデアを生むきっかけになってきたそうです。
③優秀な人材の確保
彼らが日本を選んだ理由の1つに人材への期待があるそうです。
アメリカの大手IT企業では人材獲得競争が激化しており、採用にともなう費用がとてつもなく高くなっているそうです。
それに比べ日本のIT人材は優秀な人でも人件費は決して高くはなく、国際的に過小評価されているとのこと。
それがゆえに日本では、比較的低コストで優秀なIT人材を採用できるチャンスがあり、アメリカの人材獲得競争を避けることができるメリットがあるようです。
④日本のAI市場の未開拓の可能性
日本は携帯インターネットやQRコードなどの先駆的技術があるものの、現金のもの店舗やFAX、と社印の日常的な使用があるなど、米国や中国に後れをとっています。
そういった中、日本企業がAI技術を取り入れる意欲が高まっており、デジタル化の遅れを埋めるチャンスがあると考えられているようです。
⑤政府の支援とエコシステムの構築
atpartnersの記事によると、Sakana AIは政府からスーパーコンピューター利用の助成金を獲得し、NTTやソニーグループなどの重量級企業とのプロジェクトを検討しています。
また、政府機関の業務や、成長しつつある日本の防衛産業での下請け業務も視野にいれているようです。
⑥著作権法の柔軟性
(株)エクサウィザーズが運営する「AI新聞」によると、日本の著作権法はAI研究に適していると報じています。
多くの諸外国が何かしらの制限をかけているなか、日本ほど著作権者の許諾を得ずに、AIによる著作物を使った学習が認められている国はないと報じていました。
日本の著作権法はAIによる学習において柔軟であり、研究に有利な環境を提供していると言えます。
⑦日本が好き
アニメやゲームの先進立国の日本ですが、エンジニアはこういった娯楽やエンターテインメントが好きな人が多いようです。
ジョーンズ氏はNHKの取材のなかで次のように語っていました。
日本で会社を立ち上げると言うと、アメリカなどから人材を連れてくるのは難しいと話す人もいましたが、実際には、すでに多くの人たちが、海外から私たちに仕事を求めるメールを送ってきています。日本は、私たちが雇いたいようなコンピューターサイエンスのオタク的な人たちに、特に愛される国なのです。
出典:NHK
実は、見えないところで日本のアニメやゲームが、日本のAI開発に大きく貢献していることがわかって筆者も少し嬉しさを感じました。
まとめ
AI関連の記事を作成すると、“日本が先進国という認識はもう過去のものへと変わりつつある”ように感じます。
世界的なAIエンジニアが日本を開発の拠点に選んでくれたことは喜ばしいことですが、米国はもちろん、中国にも遅れをとっている日本はAI技術でどこまで巻き返せるのでしょうか?
労働力減少や生産力低下が叫ばれている日本では、AIの進展がカギになってくるのかもしれません。
今回はSakana AI(サカナ AI)第2弾記事「Sakana AI(サカナ AI)はなぜ日本を選んだのか?~7つの理由が世界を変える~」を作成しました。
第1弾記事「」は下の関連記事よりご覧ください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。